空爆と飢えで死骸が散乱、動物園も窮状に ガザ
パレスチナ自治区ガザ(CNN) 小さな囲いの中に座ったヒヒは床から種を拾い集め、見つかる物は手当り次第に口に運んでいた。周りにはつがいだったメスと子どもたちの死骸。「8~10匹のサルが死んだ」と獣医師は言う。「クジャク、ガゼル、ライオン、キツネも」。
イスラエルとの戦闘で大きな被害が出たパレスチナ自治区ガザでは、動物園の動物たちも悲惨な状況に置かれていた。
飼育舎の間の焼け焦げた草の上には至る所にサルなどの死骸が散乱する。別の檻(おり)では飢えた2頭のライオンの前にクジャクの死骸が横たわる。水がほとんどなくなった飼育舎ではワニが強い日差しを浴びていた。
係員によると、戦闘の巻き添えになり、けがをして弱っている動物も多い。餌代もなくなって支援も届かないことから、餌は何日も与えていないという。
「ひどい状況だ。動物たちを檻から出して清掃することもできない。多くは汚れて弱っているが、ほかに移す場所もない」と獣医師は肩を落とした。
特にライオンの状況は深刻だ。戦闘中に1頭が死に、残った3頭のために餌の肉を買うこともできない。「もう10~15日、餌を与えていない。戦闘中は近づくことができず、戦闘が収まってから水だけはやった」(獣医師)。