唾液検査でアルツハイマーを早期発見へ 学会で発表
(CNN) 唾液を検査するだけでアルツハイマー病を早期発見できるかもしれないという研究結果が、米首都ワシントンでこのほど開かれた国際アルツハイマー病協会の会合で発表された。
現代の医学では、アルツハイマー病の患者の脳には変性が見られることが分かっている。カナダのアルバータ大学の研究チームは、この変性を検出する方法として唾液の検査に着目した。
同大の研究では約100人の被験者を認知能力に応じて3グループに分類。正常と診断された35人、軽度の認知障害がある25人、アルツハイマー病と診断された22人の唾液について、それぞれ脳の化学反応の副産物として生成される約6000種類の代謝物質を分析した。
その結果、アルツハイマー病と軽度の認知障害があるグループには特定のバイオマーカー(代謝物質のパターン)があることが判明。このバイオマーカーで認知能力を予知する実験を行い、別の被験者27人の唾液検査でその結果を検証した。
同大の研究者は発表の中で、「唾液の代謝分析はアルツハイマー病の早期発見に向けた進展につながり、通常の加齢からアルツハイマー病に至る仕組みについての理解も深まる」と指摘している。
唾液検査は身体への負担が少なくコストも抑えられる。実用化されれば医師がアルツハイマー病のリスクを早期に発見して治療方針を立てることも可能になる。
ただしこの研究はまだ専門誌などには発表されておらず、再現性も確認されていない。唾液を使った診断方法を確立するためにはさらに研究を進める必要があると専門家は解説している。