中国南部から8万年以上前のヒトの歯 人類史覆す発見か
(CNN) 中国南部の洞窟でこのほど、少なくとも8万年前にさかのぼるとみられる現生人類(ホモ・サピエンス)の歯の化石が見つかった。現生人類はアフリカで誕生し、5万~7万年前に世界各地へ広がったというのが定説だが、今回の発見はこれを覆す可能性がある。
中国・古脊椎動物古人類研究所(IVPP)や英ロンドン大学の研究者によるチームが英科学誌ネイチャーに発表した研究によると、湖南省道県の洞窟から47本の歯が発掘された。
放射性炭素を使った通常の年代測定法の限界を超える古さだったため、周囲に堆積した方解石や洞窟内に残された人骨などから年代を割り出した。歯の特徴は現代人とほぼ変わらないという。
洞窟からは、すでに絶滅した古いパンダなど動物の骨も見つかったが、石器は発掘されなかった。歯の持ち主だった人間はこの洞窟に住んでいたわけではなく、動物の獲物となってここへ運ばれたと考えられる。
従来の説では、アフリカを起源とする現生人類は8万年前、まだアジアに到達していなかったことになる。欧州でこれまでに見つかった最古の現生人類の化石は、4万5000年前のものとされている。
研究者らによると、今回の発見は「出アフリカ」と呼ばれる拡散の時期がもっと早かったか、あるいはアジアのこの地域で別の現生人類が独自の進化をとげていた可能性を示唆している。
研究チームでは今後、歯のサンプルからDNAを抽出し、この現生人類の起源をさらに詳しく調べる計画だ。