ペルシャ湾岸は猛暑で生存不能に 専門家が警鐘
ニューヨーク(CNNMoney) 地球温暖化がこのまま進めば、中東のペルシャ湾岸地域はいずれ人が生きられないほどの熱波に見舞われるかもしれない――。気候変動の専門家が科学誌ネイチャーに発表した論文でそう警告した。
論文はスイス・チューリヒにある大気気候研究所のクリストファー・シェール氏が発表。「もし気候変動がこのまま続けば、気温と湿度の高さが組み合わさって、わずか1世紀のうちにペルシャ湾周辺は人間には耐えられない過酷な環境になるかもしれない」と予想する。
同氏によると、クウェート市などでは気温が耐えられないレベルにまで上昇し、これまで考えられていた以上に人の健康が脅かされる可能性がある。今世紀中にそうした状況に陥る恐れもあるという。
これに関連して米ロヨラ・メリーマウント大学とマサチューセッツ工科大学の研究者も気候変動に関する論文を発表し、クウェート市やアラブ首長国連邦のアルアイン、カタールのドーハでは、気温が過去最高の60度を超す可能性があると予測した。
現在のクウェート市の最高気温は平年で約47度。世界ではリビアで観測された58度、またはカリフォルニア州デスバレーの57度が観測史上最高とされている。
中東の裕福な地域ではエアコンの効いた建物に避難できるかもしれないが、イエメンのような貧困国では熱波にさらされて子どもや高齢者が死亡する恐れもあると研究チームは指摘。イスラム教のメッカ巡礼で屋外で祈りをささげる行為も健康被害につながりかねないと警鐘を鳴らしている。