ハトを使って乳がん発見、米研究チームが実験
(CNN) ハトを使って乳がんの画像診断をすることが可能であることを、カリフォルニア大学デービス校のリチャード・レベンソン教授(病理学・臨床検査学)らの研究チームが明らかにした。
鳥は紫外線など、人間よりも幅広い波長の光を「見る」ことができる。
また、これまでもハトを訓練すれば視覚的な手がかりから画像を分類できることは分かっていた。アルファベットの文字を識別したり、着ているものが違っても人を見分けることもできる。
そうしたハトの視覚能力を知ったレベンソン教授は、この能力を何かに役立てることはできないかと「知的な遊び心」から考えたという。
そこでアイオワ大学のエド・ワッサーマン教授(実験心理学)と組み、乳がん検査の画像をハトに見せる実験に取り組んだのだ。
実験では8羽のハトを使い、目の前の画面に乳房の細胞の拡大写真と、青と黄色の四角を同時に映し出した。そして写真にがん細胞が映っていれば青の、そうでなければ黄色の四角をつつくよう、えさを使って教え込んだ。
15日間の訓練の結果、ハトは初めて見る画像であってもがん細胞の有無を85%の確率で見分けることができるようになったという。
ただし、がんの可能性がある乳腺密度の高い画像などはうまく識別できなかった。米放射線医学会乳房画像委員会のデブラ・モンティチオーロ博士によれば、乳房は脂肪や乳腺密度のパターンが人によって異なるため、人間でもそうした画像からがんを見つけ出すことができるようになるには「長年の経験が必要になる」という。
論文は、インターネット科学誌「プロスワン」で発表された。