グレートバリアリーフ、サンゴの9割超で「白化」被害 豪調査
(CNN) オーストリア北東部沿岸に広がるグレートバリアリーフで懸念されているサンゴの白化現象について、特に北側の一帯における被害が「甚大」だとする調査結果がこのほど発表された。
同国のサンゴ礁研究機関は、グレートバリアリーフを構成する900カ所のサンゴ礁を空と海中から調査。長さ2300キロにわたって広がるグレートバリアリーフのサンゴ礁のうち、何らかの白化現象が確認されたものは全体の93%に達したという。
白化とはサンゴと共生している褐虫藻がサンゴの体の外に出てしまう現象を言い、海水温の上昇や荒天によって悪化する。
特にひどかったのはグレートバリアリーフの北側3分の1の海域で、サンゴ礁の81%が「重い白化」状態だとされた。
調査に携わったアンドルー・ベアード氏は「一部のサンゴ礁では、最終的な死滅率は90%を超えるだろう」と指摘。「白化がこれほど深刻化すると、あらゆる種類のサンゴに影響が及ぶ。成長が遅い年老いたサンゴでは、1度失われたら回復には数十年かそれ以上かかるだろう」と説明した。
豪国立サンゴ白化対策本部を率いるテリー・ヒューズ教授は、北部の状況を「10個のサイクロンに1度に襲われたようなもの」だと述べた。
白化の度合いは南に行くに従って軽くなっていき、南側3分の1の海域では深刻な白化を起こしているサンゴ礁はわずか1%だ。それでも白化がまったく見られないサンゴ礁は南側全体の4分の1に過ぎない。
今回の白化の大きな原因となっているのはエルニーニョ現象とみられる。だが一方で、国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)によれば、サンゴの白化現象は地球温暖化の「最も広範かつ顕著な影響」だ。