NASAは昨年だけで、火星に液体状の水を発見し、木星の衛星の1つに氷が存在する証拠も見つけた。また我々は、地球から30億マイル(約48億キロ)以上離れた冥王星の地形を高解像度で撮影して地図化した。各種の宇宙望遠鏡により、遠くの恒星を周回する地球に似た惑星の数々も新たに発見された。我々はさらに、小惑星と接触するための新たなミッションを推進している。これは小惑星衝突の脅威から地球を守る方法を学ぶうえで助けとなる一方、地球上における生命の起源についても得るところがあるだろう。我々は太陽系内のすべての惑星をフライバイ(接近通過)した――他のどの国も成し遂げたとは言えないことだ。そして我々は、税金を負担する人々のため、宇宙探査のコストを低下させ続けている。
我々は今週、米国をリードする科学者や技術者、技術革新に携わる人たちや学生の一部をピッツバーグに集める。我々のこれまでの歩みを踏まえ、次のフロンティアを探すための方法を夢見るためだ。わずか5年前、米国の企業は世界の商業打ち上げ市場に参入できていなかった。NASAの職員が地ならしを進めてくれたおかげで、今日では米国企業が市場の3分の1以上を占めている。ほぼ50州すべてにまたがる1000社以上の企業が、民間での宇宙開発に取り組んでいる。
我々は、宇宙における米国の物語の次の1章を開くのに不可欠な明確な目標を設定した。2030年代までに人類を火星に送りこみ、安全に地球に帰還させるというものだ。究極的な目標は、いつの日か火星に長期間にわたり滞在することだ。火星に到達するためには引き続き、政府と民間の技術革新者との間で協力していくことが求められるだろう。我々は既にかなり前進している。2年以内に、民間企業が初めてISSに宇宙飛行士を送りこむ見通しだ。