米病院、胎児を子宮から取り出し手術 「2度目の誕生」成功
しかしキャス医師らは胎児の手術を提案した。ただし簡単な手術ではなく、胎児が助かる確率も高くはなかった。
「23週目で腫瘍が娘の心臓を封鎖して心不全を起こさせていた。このまま腫瘍に娘の体をむしばまれるか、娘に生きるチャンスを与えるかの選択だった」「答えは決まっていた。娘に命を与えたいと思った」(ボエマーさん)
妊娠23週と5日目で医師団は胎児の緊急手術に踏み切った。この時点で腫瘍は胎児よりも大きくなりかけていた。
手術は5時間に及んだが、胎児の手術は短時間で終わらせる必要があり、20分で済ませたという。母親の健康を損なうことのないよう、子宮の切開と縫合は時間をかけて慎重に行った。それでも胎児を取り出すために大きく切開する必要があり、羊水はすべて流出した。
手術中に胎児の心拍が低下して事実上の心停止状態に陥る場面もあった。しかし心臓の専門医が投薬や輸液などの措置を施し、医師団は手術を続行。腫瘍の大部分を摘出すると、胎児を母親の胎内に戻して子宮を縫合した。
キャス医師は、「あのように子宮を切開してすべて元通りにうまく縫合できたのは、一種の奇跡だった」と語る。