フレンチの流行から健康志向、ファストフードまで――歴代大統領の食事から見る米国の変遷
エバンズ氏はこうした栄養指向について、「燃料」として食べ物を取るようなものだと指摘。こうした健康的な食生活を採用した大統領として、ウッドロー・ウィルソンやジョン・F・ケネディらを挙げる。
ベントリー氏によれば、20世紀後半には体重と健康問題を結びつける栄養学が登場した。大統領の食習慣においても健康志向が強まったという。大統領在任中のビル・クリントン氏がジャンクフードやお菓子を好んでいたことはよく知られているが、任期終了後はより健康的な食生活を採用した。今では菜食主義者を自認しているという。
こうした健康志向は2000年代のジョージ・W・ブッシュ政権でも明らかになった。ベントリー氏は「以前の大統領も同様に健康に気を遣っていたかもしれないが、ジョージ・W・ブッシュ氏の場合、健康な食習慣を宣伝することがイメージ形成の手段として重要視された」と指摘する。この傾向はオバマ政権で一層顕著になったという。
オバマ一家は健康食やスナックをホワイトハウスに導入しただけでなく、ミシェル夫人と共に健康な食生活を主要な国家問題として打ち出した。シール氏によれば、オバマ一家がカロリーや健康に非常に気を遣っているのは、ミシェル夫人の考えを反映したもので、ミシェル夫人の家庭菜園は本格的だという。
ベントリー氏は、トランプ政権の登場によりファストフードに夢中になっていた第2次世界大戦後の時代に逆行する可能性もあると指摘。「食に対するトランプ氏の美学は第2次世界大戦後の時期に似通っていると言えるだろう。食に関する支配的な価値観として、画一的で定番であること、質より量が求められた時代だ」と述べた。