欧米のすしブームで寄生虫の症例増加、医師が注意喚起
(CNN) すしなど魚介類を生で食べる料理の人気が上昇している欧米諸国で、寄生虫を原因とするアニサキス症の症例が増えているという。ポルトガルの研究者が11日の英医学会誌に発表した報告書で明らかにした。
報告書では、激しい腹痛や嘔吐(おうと)、発熱などの症状が1週間続いて入院した32歳の男性の症例を紹介している。この男性は、上部消化管の内視鏡検査で寄生虫が胃を貫通していたことが分かり、医師団が結腸ポリープ切除専用の器具を使って寄生虫を除去した。
男性は、症状が出る前にすしを食べていたといい、寄生虫を調べた結果、サケやニシンなどの魚介類に寄生するアニサキスだったことが分かった。寄生虫を除去すると、男性の症状はすぐに収まったという。報告書を執筆したジョアナ・カルモ医師は、「こうした感染については数十年前まで医師も知らなかった」と話している。
英アバディーン大学の研究者によると、これまでアニサキス症の症例は日本が大部分を占めていた。日本では年間2000~3000人がアニサキス症と診断されている。
しかし、スペインではカタクチイワシを生またはマリネで食べたことを原因とするアニサキス症の症例が、年間8000例に上る可能性もあるという。
カルモ医師は言う。「欧州では私たちが思っている以上に魚類の寄生虫が多いと思われる。スペイン・グラナダの市場で流通していたサバの鮮魚を調べたところ、39.4%からアニサキスが見つかったという統計もある」。別の統計では、スーパーマーケットで販売されていたタラの仲間の魚のうち、約56%で寄生虫が見つかった。
米疾病対策センターによると、寄生虫の症例は米国や南米、欧州などの各国でも確認されている。