火星の生命の痕跡、1970代に見つかっていた? NASAの元研究員
「実験で見つかったのは生命に似た物質であって、生命ではなかったとNASAは結論付けた」。レビン氏は記事の中でそう解説している。「どういうわけか、バイキング以後43年以上にわたってNASAが送り込んだ火星探査機はどれ1つとして、あのエキサイティングな結果について追跡調査するための生命検出装置を搭載していなかった」
しかし今になって有望な痕跡が相次いで見つかっている。NASAの探査車「キュリオシティ」は2018年に火星で有機物を発見し、太古の火星の表面に塩湖があったことをうかがわせる堆積物もこのほど見つかった。
「火星の生命の可能性を否定する証拠は何もない」とレビン氏は強調し、「我々は生命を検出した可能性が大きい」と主張。当時の実験を共同で手掛けたパトリシア・ストラート氏とともに、追跡調査の実施を求めている。
しかしレビン氏によれば、NASAは2020年に打ち上げる火星探査車にも、生命検出実験の装置は搭載しないと発表しているという。「確立された科学的手順に従って、次の火星探査車では生命検出実験を行うよう努力すべきだと確信する」と同氏は訴える。
ある程度の調整を行った上で再び火星でLR実験を行い、専門家チームが客観的な立場から実験データを検証すれば、「バイキングのLR実験で生命が発見されていたという結論が出るかもしれない」(レビン氏)
NASAは来年夏に次の火星探査車を打ち上げ、2021年2月に火星に着陸させる予定。この探査機には、過去の火星に生命が存在していた痕跡を探るための装置が搭載される。