火星の生命の痕跡、1970代に見つかっていた? NASAの元研究員
(CNN) 米航空宇宙局(NASA)は火星の地表で40年以上前に行った実験で、生命の痕跡をとらえていた可能性がある――。当時の実験にかかわったNASAの元研究員が、雑誌でそんな主張を展開し、この実験を繰り返すことを求めている。
NASAは1976年、火星に送り込んだ無人探査機「バイキング」を使ってLRと呼ばれる実験を行った。この実験で主席研究員を務めた科学者がギルバート・レビン氏。同氏は10日の米科学誌サイエンティフィック・アメリカンへの寄稿で、LR実験の結果、火星の生命の存在を裏付けるような結果が出たと論じている
LR実験は、火星の土壌に有機物が存在するかどうか調べる目的で行われた。「我々は、その究極の疑問に答えを出したようだ」とレビン氏は言う。
実験では探査機を使って火星の大地に栄養素を置いた。もし生命が存在していれば、この栄養素を摂取して代謝によって生じるガスの痕跡が残り、放射線測定器で検出できるはずだった。
それが生物反応だったことを確認するため、そこにいた生命を殺す目的で土壌を加熱した後に同じ実験を繰り返した。最初の実験で検出された反応が、2度目の実験で検出されなければ、そこには生物の力が作用していることになる。レビン氏によると、実験ではその通りの結果が出たという。
しかし、それ以外の実験では有機物は発見できず、NASAがこの実験結果を研究室で再現することもできなかった。このためNASAは、地球外生命体の痕跡ではなく、未知の化学反応による誤検知だったと結論付けた。