米ボーイングの宇宙船が帰還、実験失敗もデータ獲得に手ごたえ
ニューヨーク(CNN) 米ボーイングの宇宙船「スターライナー」が22日朝、初の試験飛行を終え、ニューメキシコ州の砂漠の中に着陸した。
20日に無人で打ち上げられた同船は、予想外の問題に見舞われて正しい軌道に乗せることができず、国際宇宙ステーション(ISS)とのドッキングを中止。予定より早い帰還を余儀なくされた。
スターライナーはいずれ、米航空宇宙局(NASA)の宇宙飛行士をISSに輸送する役割を担う。ボーイングにとっては22日に無事帰還したことで、帰還した宇宙船が安全に着陸できるかどうかに関する貴重なデータを入手できることになり、成果はあったと位置付けている。
ボーイングは過去10年をかけ、スターライナーを使った有人宇宙飛行の準備を進めてきた。
NASAはスペースシャトルの引退後、ISSに宇宙飛行士を輸送するための宇宙船開発を民間に託している。ボーイングには2014年、42億ドルでスターライナーの開発を発注、17年までに準備が整うと見込んでいたが、大幅な遅れや開発の後退に見舞われてきた。
民間宇宙企業のスペースXも26億ドルで有人宇宙船の開発を受注したが、スケジュールはやはり数年遅れになっている。
ボーイング幹部は22日、スターライナーを軌道に投入できなかった原因について、時計が同期できなかった問題に起因すると説明した。スターライナーの搭載システムでタイマーに11時間のずれが生じ、適切なタイミングでエンジンを噴射できなかったために軌道を外れた。
この影響で地上の管制塔との連絡が8分間にわたって途絶え、その間に軌道修正してISSに向かうために必要な燃料を消費したことから、最終的に管制官がISSとのドッキングを断念した。