世界中に響いた大地のうなり声、新しい海底火山の誕生だった
最初の段階は、地下約29キロメートルの深さにあるマントルにたまっていたマグマの急上昇だった。これが海底に突き抜けてマグマが噴出し、新しい海底火山の形成が始まった。
2019年5月には、この場所に火山が形成されたことを示す海洋活動が観測された。
海底火山の形成期には地震活動が低下してマヨット島が沈下し、続いて超長周期シグナルが始まった。
研究チームはこれについて、マヨット島の海底でマグマだまりが崩壊した兆候と解釈している。
マグマの動きをモデリングしている論文著者の一人/Simone Cesca
これほど壮大な出来事が起きていたにもかかわらず、マヨット島でそれに気付いた人はほとんどいなかった。同島はコモロ諸島を構成する4つの火山島の1つで、人口はおよそ26万人。最後に火山が噴火したのは約4000年前だった。
ドイツ・ポツダム大学の研究者は、「この海底は3キロの深さがあるため、巨大な噴火に気付いた人はほとんどいなかった」と指摘。「だがマヨット島は今も危険にさらされる恐れがある。マグマだまりの上の地殻は崩壊が続き、もっと強い地震を引き起こす可能性がある」と警告している。