観測史上最も高温の系外惑星、大気中の水素分子が解離
(CNN) 地球から670光年離れた系外惑星「KELT―9b」について、表面温度があまりにも高いため大気中の水素分子が原子状態に解離しているとする研究論文がこのほど学術誌に掲載された。米航空宇宙局(NASA)の宇宙望遠鏡「スピッツァー」を用いた観測で明らかになったとしている。
2017年にはくちょう座の方向で見つかったKELT―9bは、表面温度が約4315度に達する。恒星から極めて近い軌道を周回する巨大ガス惑星「ホット・ジュピター」の中でも特に温度が高い「ウルトラホット・ジュピター」で、質量は木星の3倍。恒星に対する公転周期は、地球の時間に換算してわずか1日半だ。
月と同様、自転と公転の周期が同期する「潮汐(ちょうせき)ロック」の状態にあり、今回の観測結果から、恒星に面した側では大気中の水素ガスの分子がばらばらに解離した状態になっていることが分かった。これらの分子は、大気の循環により比較的温度の低い反対側に移動するまで元には戻らない。再結合しても再び恒星の側に移れば、また解離するプロセスを繰り返すという。
米シカゴ大学の大学院生で論文の筆頭著者のメーガン・マンスフィールド氏はKELT―9bについて、極端に温度が高く、他の多くの系外惑星とはややかけ離れた存在だと指摘。ただこれほど高温ではない他のホット・ジュピターやウルトラホット・ジュピターでも、同様の現象は起こりうると付け加えた。