米国の新型コロナ感染、12月に始まっていた可能性 UCLA研究
(CNN) 米国内で昨年12月下旬から新型コロナウイルス感染が広がり始めていたとする研究結果を、米カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)の研究者らが発表した。
UCLAのジョアン・エルモア博士らが10日、国際医学誌JMIRに発表した。
米疾病対策センター(CDC)によると、米国内で初めて確認された新型コロナウイルスの感染例は1月19日に症状を訴えて受診した35歳の患者。市中感染は2月末から始まったとされてきた。
コロナウイルスの発生源とみられる中国では、最初の患者が12月1日に発症したとの報告がある。一方これまでの研究で、欧州の流行が12月以前から始まっていた可能性も指摘されている。
エルモア氏は今年3月、複数の患者から寄せられた問い合わせのメールをきっかけに研究を始めた。「1月にせきの症状があったのは新型コロナウイルス感染だったのでは」という内容だった。
チームがUCLA系の病院3カ所、診療所180カ所などのカルテ約1000万件を調べたところ、昨年12月から今年2月までの間にせきの症状で受診した外来患者は例年より1000人以上増え、1.5倍に達していたことが分かった。
呼吸器症状による救急患者、入院患者の数も同様に、過去5年のデータを上回っていた。増加傾向は12月最終週から始まったという。
エルモア氏は「中国からロサンゼルスには1カ月に500便が飛んでいた。感染者が1人か2人入っていたとしてもおかしくない」と指摘する。
これに対して一部の研究者は、米国での感染が2月以降に拡大したことは新型コロナウイルスの遺伝子解析でも裏付けられたと反論している。