旧ソ連の人工衛星と中国のブースター、大型の残骸が宇宙空間でニアミス
ニューヨーク(CNN Business) 宇宙空間を漂う旧ソ連時代の人工衛星の残骸と、中国のロケットブースターの残骸が、米国時間の15日夕刻(日本時間16日午前)にニアミスを起こし、低い確率ながら衝突する可能性がある。
こうしたニアミスは常に宇宙空間で発生している。しかし地上レーダーを使って宇宙を漂う物体を観測している米新興企業のレオラボズによれば、今回の衝突の確率は10%以上。同社のダニエル・セパリー最高経営責任者(CEO)は、「週に数回、死んだ人工衛星が互いに100メートル以内に接近し、ものすごいスピードで移動している」と指摘する。
同社が今回のニアミスについて発表したのは、2つの残骸がいずれも大型で、衝突した場合、膨大な量の残骸が発生する可能性が大きいことによる。しかもこの軌道は、周辺の軌道に比べるとまだ比較的クリーンな状態にあるという。同社の発表には、残骸問題について啓発する狙いも込められている。
ハーバード・スミソニアン天体物理学センターの天文学者ジョナサン・マクダウェル氏によると、ソ連時代の人工衛星は1989年にナビゲーション用に打ち上げられたもので、重さは約900キロ、全長約17メートル。
ロケットブースターは、2009年に打ち上げられたと思われる中国の長征ロケット打ち上げ装置の一部で、全長約6メートル。いずれも現在は使われていない。
宇宙空間では2009年、ロシアの軍事衛星の残骸が、米通信会社イリジウムが運用中の通信衛星と衝突して大量の残骸が発生したことがある。この時の残骸は今も軌道上に残り、付近の衛星を脅かし続けている。