コロナワクチン、妊婦や授乳中の女性とその赤ちゃんを守る 新研究
(CNN) 米ファイザーと独ビオンテックが共同開発した新型コロナウイルスワクチンと米モデルナ製の同ワクチンには妊娠中や授乳中の女性を守る効果があり、さらに母親から赤ちゃんに防御抗体が移っていることがわかった。米病院の研究者らが25日刊行の米産科婦人科学会誌で発表した。
マサチューセッツ総合病院など3施設の研究者は、2つのワクチンのいずれかを接種した女性131人を対象に調査。うち84人は妊娠中、31人は授乳中、16人は妊娠していない女性で、サンプルは昨年12月17日から今年3月2日の間に集められた。
調査の結果、妊娠中や授乳中の女性に対してワクチンが誘導する抗体のレベルは、妊娠していない女性と同じレベルに達した。また、妊娠中に新型コロナに感染した人々と比べると、はるかに高い抗体レベルが示されたという。
さらに、胎盤や母乳の測定から、女性からその子どもに防御抗体が移っていることもわかった。研究者の1人、ラゴン研究所のガリット・アルター教授は「ほぼすべての母親が子どもに対して十分なレベルの抗体を持っていた」と説明。今後は、赤ちゃんの体内で抗体がどのくらい持続するのかを調べる研究が必要だと述べた。
参加者は米疾病対策センター(CDC)の「Vセーフ」と呼ばれるツールを使い、ワクチンに対する反応も記録した。その結果、妊娠中や授乳中の女性が一般の人々と比べて副反応の頻度が高かったり、より重い副反応が出たりする結果は見られなかったとアルタ―氏は語る。
どちらのワクチンでも同じレベルの抗体が見られたものの、モデルナ製のワクチンを接種した人の方がより高いレベルのIgA抗体が見られた。アルタ―氏によると、このタイプの抗体はより効率的に赤ちゃんに移り、より長い期間持続する可能性があるという。
アルタ―氏は、この発見についても追加調査を行えば、妊娠中の女性にどのワクチンを使用するべきかについて、政策決定に役立つ可能性があると指摘する。
最近のいくつかの研究ではmRNAワクチンが妊娠中の女性に抗体を誘導し、赤ちゃんに抗体が移動するとの結果を示しているが、今回の研究は妊婦を対象とした過去最大規模のものとなった。ワクチンの初期の臨床試験では、妊娠中や授乳中の女性は対象に含まれていなかった。
CDCによると、妊娠中の女性が新型コロナに感染すると重症化のリスクが高く、また早産などの有害事象のリスクも高い恐れがある。
CDCは緊急使用を許可した3つのワクチンのそれぞれについて、約1万3000人の妊婦を対象に安全性を検証する方針。Vセーフを利用して行う予定で、今月22日時点で3612人前後の妊婦が登録を済ませているという。