古代ユダヤ人、戒律違反の魚を食べていた 魚の骨の遺物で明らかに
(CNN) 古代ユダヤ人たちは、聖書で禁じられていたとみられる時代にも、戒律で認められていない魚を口にしていたとする研究結果が、考古学誌「テルアビブ」に掲載された。
研究者らは、紀元前1550~1130年にかけての後期青銅器時代から、紀元640年のビザンチン時代末期にかけての、現在はイスラエルとエジプトに属する複数の地域の遺跡30カ所から魚の骨の遺物を分析。
食事に関するユダヤ人の律法の主要な規則は、ペルシャ時代にまとめられ、長い間守られてきた伝統に基づくものと多くの学者が考える「モーセ五書(トーラー)」に規定されている。
戒律を順守するユダヤ人たちは今も、同書に記されたコーシャーと呼ばれる条件に従っており、そうした条件には、口にする魚はヒレやはがれやすいうろこを持っていなければならないとするものも含まれている。
だが紀元前1130年から586年にかけての鉄器時代にさかのぼるユダヤ人の複数の遺跡にあった魚の骨を分析したところ、研究者らはナマズやサメといったコーシャーが禁じる魚をかなりの割合で発見した。
また研究チームは、戒律がまとめられたと考えられているペルシャ時代の間、エルサレムでコーシャーに反する魚が消費されていた証拠も見つけ出したという。
ヨルダン川西岸地区にあるアリエル大学で講師を務めるヨナタン・アドレル氏はCNNに対し、同僚と共に考古学の手法を用いて、古代ユダヤ人がトーラーを意識するようになり、日々の生活で順守し始めた正確な時期を突き止めたいと述べた。
同氏は「トーラーにあるレビ記と申命記の中で、ヒレやうろこのない魚を禁じている箇所が2つある」「鉄器時代を通して、ユダヤ人もしくはイスラエル人がうろこのない魚を控えた証拠はないというのが、われわれが発見したことだ」と説明。
その結果、今回の発見により、長い間の伝統が、トーラーに記されている食事に関する規則の基盤となっているという想定について、再考しなければならないと指摘している。