地下鉄や地下室が水没、大都市のネズミはどうなった? 米東海岸
パーソンズ氏はネズミの危機対応能力について、ネズミはアイダを生き延びただけでなく、さらに繁殖すると予想する。
パーソンズ氏の調査では、ニューヨークに生息するネズミの個体数は、新型コロナ対策に伴う飲食店の閉鎖による食糧源の変化に順応していることが判明。「弱いネズミや不運なネズミが死んだ一方で、幸運な個体や強い個体は生き延びた」とパーソンズ氏は話す。
生き延びたネズミたちはたちまち繁殖する。専門家によれば、20匹のネズミが、半年後にはゆうに数百匹になる。
テネシー大学のマイケル・ブラム教授は言う。「洪水の被災地ではネズミたちも一掃されると思うかもしれない。だが現実には、一掃されてもたちまち復活する。洪水前よりずっと数が増えることもある」
ブラム教授は2005年にニューオーリンズを襲ったハリケーン「カトリーナ」がネズミに与えた影響を調べ、8月に発表した。それによると、洪水の被害が大きく建物の多くが空き家になった地域で12年後にネズミが大量に繁殖していることが分かった。空き地の整備が行き届かない地域では、ネズミの個体数はさらに多かった。
実際のところ、洪水に見舞われた都市でネズミの個体数がどう変化するのかは、水が引いた後の対応にかかっている。
ニューオーリンズの害獣管理関連の委員会のクローディア・リーゲル氏によれば、カトリーナの時はインフラの損壊が激しく、道路に出されたごみなどの回収には時間がかかった。被災した住宅のがれきや冷蔵庫などが長期間、路上に放置されてネズミの餌場になり、ネズミが集まっていた排水溝に殺鼠(さっそ)剤をまくなどの対策を強いられたという。「我々は実際のところ、個体数の飛躍的な増加を食い止めようとしていた」とリーゲル氏は振り返った。