グリーンランドの氷床融解で30センチ近い海面上昇は不可避 欧州研究
(CNN) グリーンランドの広い範囲で進む氷床の融解により、世界の海面が近い将来、30センチ近く上昇することは避けられないとする研究結果が発表された。
気候変動の専門誌「ネイチャー・クライメート・チェンジ」で29日に報告された研究によると、たとえ世界が今すぐ温室効果ガスの排出をやめたとしても、グリーンランドの氷が解け、少なくとも25センチの海面上昇が起きることは確実とされる。
これは、過去100年にグリーンランド、南極大陸での氷融解と、海水の熱膨張によって上昇した分を全部合わせた幅にほぼ等しいという。
デンマーク・グリーンランド地質調査所(GEUS)の研究チームは、グリーンランドやその周辺で氷床の変化を観察してきた。すでに起きている気候変動が原因で、グリーンランドの氷床全体の約3.3%、氷の重さにして110兆トンが解けることは避けようがないと指摘した。
またこれによる海面の上昇は、今世紀中に気候がどんなシナリオをたどっても同じように起きるとしている。ただし研究チームは、今世紀末までのどの時点で上昇するのかを言明していない。
チームが示した上昇幅はあくまでも最低限の推定値で、温暖化がほぼ確実にこのまま続く前提で考えると、数値はさらに大きくなる。
氷床は気温が高くなれば短時間で解けるほか、端が暖かい海水に触れることで解け出す可能性もある。
米海洋大気庁(NOAA)は最近出した報告書の中で、米国の沿岸部では今後30年で25~30センチの海面上昇が観測される可能性を指摘した。
グリーンランドの気温は1980年代以降、10年に1.5度と、世界平均の4倍のペースで上昇している。
グリーンランドの氷が全部解けたら、世界の海面は約7.6メートル上昇すると予想される。それも世界各地で均一な上がり方をするのではなく、グリーンランド自体のように、引力などの理由で逆に海面が下がる場所もあるという。
グリーンランド北部では、先月15~17日に1日当たり60億トン、オリンピックサイズのプール720万面分を満たすほどの氷が解けた。
世界の研究者らによると、気候変動が加速している流れは明らかで、温室効果ガスの排出量がただちに削減されない限り、こうした異常な融解は引き続き激しさや頻度を増していくと考えられる。