「手で歩く」希少な魚の撮影に成功、個体数回復の取り組み進行中 豪
スポッテッド・ハンドフィッシュや、さらに深刻な絶滅の危機に瀕している「レッド・ハンドフィッシュ」「ジーベルズ・ハンドフィッシュ」については、既に保全の取り組みが進められている。いずれもオーストラリア南東部に生息する種で、残された成体はレッド・ハンドフィッシュが100匹のみ。ジーベルズ・ハンドフィッシュは2007年以来、自然界での目撃情報が途絶えている。
この3種の再生を目指す国立ハンドフィッシュ・リカバリーチームの専門家によると、ハンドフィッシュは分散能力が低く、個体数が少なく、繁殖力も比較的低いために環境の変化の影響を受けやすく、生息地の減少や汚染、都市開発によって脅かされている。さらに、泳がずに歩く習性のため、海流に乗って環境が悪化した場所を離れるのが難しいという。
この3種の回復を目指し、個体数の観察、生息地の再生、侵襲種や繁殖しすぎたウニの駆除、水族館と連携した繁殖などの取り組みが進められている。ダーウェント川では産卵を促すための生息環境を人工的に作り出した結果、個体数の安定に向けた有望な結果が出ているという。
それでも事態は依然として差し迫った状況にあり、復活チームは長期的な資金を必要としている。オーストラリア政府が種の絶滅を防ぐ目的で打ち出した行動計画では、レッド・ハンドフィッシュが優先種に指定され、専門家はこれが助けになることを願うと話している。