世界最大級の湖が劇的に縮小、気候変動と水の過剰利用が原因と研究者
1992年から2020年までの衛星画像25万枚以上を検証したところ、全体の53%で著しい量の水が失われていることが分かった。1年あたりの喪失量は220億トン前後で、期間中失われた水量はミード湖17個分に匹敵するという。
自然湖から喪失した水量の半分以上は、人為的な活動と気候変動に原因を求めることが可能だと、研究論文は指摘する。
湖水の喪失は湿潤な熱帯地域から寒冷な北極地方まで、世界の至る所で起きていることも分かった。論文の筆頭著者で前出の機関の客員研究員を務めるファンファン・ヤオ氏によると、研究結果から「乾燥の傾向は世界規模であり、従来の想定よりも広範囲に及ぶ」ことが示唆されるという。
水量減少の原因は湖によってまちまちだ。
ウズベキスタンのアラル海や米カリフォルニア州のソルトン湖の縮小は持続不可能な水の消費が主因なのに対し、米ユタ州のグレートソルト湖の場合は降雨量や地表を流れる雨水の変化によるものだという。
北極地域の湖は気温、降雨、地表の雨水など複数の要因が組み合わさった結果縮小しているとされる。
アルゼンチンのマールチキタ湖=2022年7月/NASA
貯水池について言えば、縮小の最大の原因は沈殿物の堆積(たいせき)だという。例えば米国第2の大きさを持つ人造湖のパウエル湖は、長い年月に及ぶ堆積の結果、貯水量が7%近く減少した。
ヤオ氏によれば、こうした堆積も気候変動の影響がもたらす現象と考えられる。世界的な温暖化を受けて頻発する山火事で森林が焼け、土壌が不安定化すれば、湖や貯水池に堆積物が流れ込みやすくなるという。