中国・敦煌の石窟寺院に気候変動の脅威 グリーンピース報告
湿度が繰り返し上がると、塩分の結晶化が進んで壁画に付着し、表面がはがれやすくなる。雨漏りで壁画が侵食され、洪水や土砂崩れで石窟自体が崩壊することもある。
中国政府は国内各地にある文化遺産の大規模な調査に乗り出しているが、調査が完了するまでに一部の貴重な遺跡はなくなっているかもしれないと、リー氏は指摘する。
北部・山西省では2021年10月、文化遺産に指定された道教寺院の晋祠や天竜山石窟が豪雨で崩壊し、計1783点の文化財に被害が及んだと報じられた。
リー氏によれば、中国の政府当局者や学者らは気候危機が文化遺産に与える脅威を認識し始めているが、監視や保護策などの具体的な行動はまだ始まったばかり。
敦煌では1960年代に始まった国際共同プロジェクトの結果、石窟内外の気温や湿度、風速を記録した数十年分のデータが研究機関に保存されている。だが多くの場所は、近年ようやく監視を開始したところだという。