世界最大の湖、カスピ海が急速に縮小 浅瀬は完全に消滅との予測も
何千年もの間、気温の変動や氷床の前進と後退により、カスピ海の水位は変動してきた。しかし、ここ数十年で水量の減少が加速している。
各国が進める貯水池やダムの建設といった人間の活動は重要な影響を及ぼしている。カスピ海には130の川が流れ込んでいるが、水の約80%は、ロシア中部と南部を蛇行しながら流れる欧州最長の川、ボルガ川がもたらしている。
テヘラン大学の中央アジア・コーカサス研究の専門家、バリ・カレジ氏によると、ロシアは40基のダムを建設し、さらに18基の建設を進めている。これにより、カスピ海に流入する水量が減少している。
気候変動などにより数十年間で水位が大幅に低下した=2020年11月23日、イラン北部マーザンダラーン州のカスピ海南岸/Hossein Beris/Middle East Images/AFP/Getty Images
一方で気候変動はさらに重大な影響を及ぼしている。蒸発率が上昇し、降雨量がより不規則になっているのだ。
ドイツ・ブレーメン大学の地球システムモデル研究者、マティアス・プランゲ氏によると、カスピ海の水位は1990年代半ばから低下しているが、2005年以降はその速度が増し、約1.5メートル低下している。
プランゲ氏は、今世紀末までに8~18メートルの低下が予測されると指摘する。
2100年までに最大30メートル低下する可能性があると示唆する研究もある。この研究の共著者は、地球温暖化のより楽観的なシナリオでも、カスピ海の北部、主にカザフスタン周辺の浅瀬は完全に消滅するとの見方を示す。