巨大ネズミの活躍に期待 野生生物の密輸を検知、武器は鋭い嗅覚と好奇心
野生生物の違法取引は、全生態系に壊滅的な影響を及ぼす可能性もある。違法取引された野生生物の消費は、エボラ、サル痘、重症急性呼吸器症候群(SARS)などのウイルス感染拡大につながるという研究もある。
ゾット氏によると、サバンナアフリカオニネズミの平均寿命は8年前後。従って1年間の訓練は長期的な投資価値がある。訓練は月曜から金曜まで。屋外の大きなケージに入れたロープのおもちゃや回し車で遊ばせる時間を定期的にはさむ。
知能の高さと好奇心の強さは学習に適している。「新しいことをさせたい時は、ただそこ(訓練用ケージ)に入れてやれば、自分でやり方を覚えてくれる」とゾット氏。
人間と同じでネズミの性格もそれぞれ違う。「1度で覚える個体もいれば、少し時間がかかるけれどいったん分かってしまえば抜群のスーパースターになる個体もいる」
研究はまだ始まったばかりだが、APOPOは今後の規模拡大に期待を寄せる。ダルエスサラームの港や空港では訓練されたネズミの試験運用を続け、長いリードを付けたネズミと自由に動き回らせたネズミの実績調査などを予定している。