2800mの氷柱は「タイムマシン」、過去の気候変動の謎を解く手掛かりに

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上空から見た南極の「リトルドームC」。ここで古代の氷の試料が掘削された/PNRA/IPEV

上空から見た南極の「リトルドームC」。ここで古代の氷の試料が掘削された/PNRA/IPEV

リトルドームCは南極高原中央に位置する高地にあり、海抜は3200メートルで、掘削作業は難航した。研究チームは、ドリルの故障を防ぎ、電気機械式のドリルが氷の層を確実に進むようにしなければならなかった。

デンマーク・コペンハーゲン大学の博士研究員ジュリアン・ウェストホフ氏によれば、氷には1メートルごとに1万3000年分もの気候データが含まれている可能性がある。

氷床コアの最深部に閉じ込められた気泡と粒子は120万年前の地球の気候がどのようなものだったかを教えてくれる/PNRA/IPEV
氷床コアの最深部に閉じ込められた気泡と粒子は120万年前の地球の気候がどのようなものだったかを教えてくれる/PNRA/IPEV

氷床コアには長い年月をかけて圧縮された雪の層が含まれている。これは気泡や粒子を閉じ込めたもので、これらを分析することで、地球の温度や大気がどのように変化したのか明らかにすることができる。

これにより、地球の気候が過去にどのように振る舞ったのかを理解し、将来どのように変化するのかをより正確に予測するのに役立ちそうだ。そして、地球がさまざまな温室効果ガスの濃度にどのように反応するのか前後関係についても情報が得られるかもしれない。

米ノースカロライナ大学チャペルヒル校のジム・ホワイト氏は「南極の氷床コアはロゼッタストーンのようなもの」と語る。「それらは(二酸化炭素)の水準の言語だけでなく、温度の言語も話すという点で独特で、これら二つの気候に関する主要な変数がどのように相互作用するのか知ることができる」

ホワイト氏は今回の氷床コア掘削には関与していない。だが、氷床コアについて、地球上の気候変動の基本的な力学について多くの情報を得られる可能性があり、その重要性についていくら強調してもしすぎることはないと語った。

現地で予備の分析が行われている間、氷床コアのスライスは完璧な温度を保つための専用の保冷コンテナに入れられ、砕氷船で欧州に輸送される。バルバンテ氏によれば、氷の中のガスやちりの濃度を深く掘り下げて測定するため、研究は数年がかりになる見通し。

ビヨンドEPICAは他の国際的な組織と同様に、より長い気候の記録を明らかにする可能性のある古い氷の探索を行う予定だ。しかし、バルバンテ氏は、そうした取り組みには、より高度な技術と計画が必要だと指摘する。

「南極大陸の他の場所でも我々が研究しているのと同じような気候の連続的な記録が採取できる場所を見つけなければならない」(バルバンテ氏)

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