米の核合意離脱、イラン経済に打撃 投資減少・成長鈍化
ロンドン(CNNMoney) トランプ米大統領がイラン核合意の離脱を表明したことは、既に苦境に立たされているイラン経済にとって大きな打撃となった。外国からの投資減少や経済成長の鈍化、観光客離れのほか、イラン国民の事業機会損失も招く可能性が高い。
英ロンドン大学東洋アフリカ研究学院(SOAS)ロンドン中東研究所のハッサン・ハキミアン所長は今回の離脱表明について、「多くのレベルで後退だ」と指摘。「イランの経済的展望、特に若者への影響という点で失望を招くのは必至だ」と述べる。
2016年に核開発の制限と引き換えに経済制裁が解除された後、アナリストはイラン経済の大幅な活性化を予想していた。これは実現しなかったものの、外国からの投資増加や観光客流入は、経済の復活を確かに後押しした。
15年の経済成長率は1.6%減だったが、16年には6.5%増に急伸。インフレ率が1桁台に収まり、石油生産が増加したほか、国際通貨基金(IMF)は生活水準の向上も予想していた。
だが、昨年の成長率は3.3%に鈍化し、失業率も上昇、インフレ率は再び10%を超えた。
アナリストによれば、8日に制裁再開が発表される前から既に、トランプ氏の強硬な言辞は投資家離れを招いていた。
シンクタンクCARPOのアドナン・タバタバイ最高経営責任者(CEO)は、「核合意存続をめぐる状況が不透明だったことで、欧州企業がリスクを冒してイラン市場に戻る意欲は事実上失われた」と分析する。