全身ベールで覆った女性のみで運営のテレビ局始動 エジプト
(CNN) 出演者もスタッフも全員が顔面から足先まで全身を黒いベールで覆った女性ばかりという放送局がエジプトでスタートした。
カイロ大学でマスコミを専攻したヘバ・セラクエディンさんは、放送局に就職しようとしたが、目だけを出して全身をベールで覆うイスラム教の女性の服装「ニカブ」を理由に採用されなかったという。そんな時に、ニカブを来た女性のみで運営する新しいテレビ局「マリア」の広告を見かけて応募、即座に採用された。
マリアは7月20日、イスラム教の聖なる断食月ラマダンの始まりとともにスタートした。十分な資金と陣容が集まるまでは、中東で放送される独立系放送局「Al-Omma」の傘下で1日4時間の放送を行う。
番組はカイロ東部のアパートにあるスタジオで、同放送局の指導を受けながら制作する。スタッフの女性は全員がボランティア。
セラクエディンさんは「ニカブを着ている女性は権利が認められず、誰も話題にしてくれない。マリアを通じて私たちのような人を見つけ、差別をなくしたい」と意気込む。ディレクターのアラア・アブダラさんは「1月25日に起きた自由という地震の後、より良い社会の形成を目指している」と抱負を語った。
これに対し、顔を隠した女性ばかりのテレビ局は、民主化革命がたどってきた道に逆行すると懸念する声もある。
アブダラさんの父、アブ・イスラム・アブダラさんが経営する放送局Al-Ommaは、反キリスト教的主張が強くにじむ。女性が「下品な服装」をしたり、ダンサーや議員として働いたりすることを許すような民主主義は混乱を引き起こすとアブ・イスラムさんは力説している。