「ドーピングで捕まるのは1割」 世界反ドーピング機関前委員長
(CNN) オリンピック出場選手によるドーピング(禁止薬物の使用)のうち、検査で発覚するのは10%に過ぎない――。世界反ドーピング機関(WADA)のディック・パウンド前委員長は2日までにCNNの取材に応じ、正確な数ではないとしながらも「選手のうち10%程度が禁止薬物を使い、そのうち捕まるのは1人か2人という可能性もある」と語った。
ロンドン五輪では16歳の葉詩文(中国)が競泳女子400メートル個人メドレーで、4分28秒43の世界新記録をマークして優勝。ラスト50メートルで驚異的なスピードを見せたことで、ドーピングを疑う声が上がっている。
世界水泳コーチ協会のジョン・レナード理事は、葉の泳ぎについて「不安を感じさせる」と述べている。
葉本人はドーピング疑惑を否定。葉は「がんばりとトレーニングのおかげで結果を出せたのであって、禁止薬物を使うなんてとんでもない」と反論している。国際オリンピック委員会(IOC)も、証拠がない限りは潔白だと指摘している。
パウンド氏は「前もって準備した上で薬物を使っていれば、ここ(ロンドン)に来ても捕まることはないだろう。捕まるとしたら、それは薬物検査と知能検査の両方に落ちたということだ」と指摘する。
またパウンド氏は、スポーツ関係団体が汚職問題に気を取られ、ドーピング問題への対処がおざなりになっていると懸念する。
パウンド氏は「問題の所在は分かっているが、誰かを失格にするには証拠がいる。さらなるリソースと、スポーツ関係団体のさらなる協力が必要だ」と指摘。「(団体側は)複雑すぎるとか金がかかりすぎるとか、汚職の方がもっと大変な問題だと言う。それで対応が不十分になってきている」と付け加えた。