放棄された豪華客船が巨大キャンバスに
この驚くべき光景を目にしたグラフィティ・アーティストの団体DuDug(「黒い公爵」を意味するウェールズ語の言葉遊び)は、荒れ地に放棄された船を活気あふれる芸術発表の場として再生するという画期的なアイデアをこの船のオーナーたちに持ちかけた。
そしてオーナーたちの同意を得た上で、欧州各地から集まったアーティストたちが、移動クレーンを使って、そびえ立つ船の壁にスプレーで絵を描き始めた。
現在、DuDugは、芸術祭の目玉としてこの船を再び一般公開できるよう働きかけている。
ウイリアムズ氏は「(アーティストたちが)作品を描き始めた時、船に落書きをするなんてとんでもないという人もいた」とした上で、「しかし、彼らが描く絵は間違いなく芸術作品だ。芸術と落書きの決定的な違いは、落書きは違法に描かれるという点だが、彼らは船のオーナーの承諾を得た上で作品を描いている」と述べた。
またウイリアムズ氏は「これにより船の再生が促されれば、それはそれで素晴らしいことだ」と付け加えた。
フェリーからファンシップへ
1956年に英国の客船として建造されたデューク・オブ・ランカスター号は、これまでも何度か「再生」を経験してきた。
あのタイタニック号と同じベルファストの造船所で建造されたデューク号は、豪華な内装、高級レストラン、広々とした客室を備え、夏には高級クルーズ船としても運行されていた。