ブラジルでまたW杯反対デモ、開幕まで約1カ月
サンパウロ(CNN) サッカーのワールドカップ(W杯)本大会の開幕まで1カ月を切ったブラジルの18都市で15日、同大会の開催に反対するデモが相次いだ。
デモ参加者は、政府が大会に備えて新スタジアム建設に数十億ドル単位を費やす半面、低所得層向けの住宅整備など社会福祉対策がなおざりにされていることを非難した。
一連のデモに伴う負傷者の有無は伝えられていない。最大規模の抗議活動はサンパウロで発生、警官隊が催涙弾を放ち、デモ参加者が投石で抵抗する騒乱にも発展した。車販売店や銀行の窓ガラスが割られる被害が出た。
サンパウロでのデモ参加者は数千人規模とされ、ブラジルで昨年開かれたW杯の予備大会「コンフェデレーションズ・カップ」時に発生した数万人参加の抗議活動に比べれば小規模となっている。
同市ではホームレスの労働者関連組織が主要通りを封鎖し、約4000人が6月12日にW杯開幕戦が行われるスタジアムへ向けて行進した。
W杯開催で世界中の注目が集まることを好機ととらえ、職場などでの日ごろの不満を解消させる要求を突き付ける動きも出ている。サンパウロでは5000人以上の教師が昇給を求めるデモを起こした。同市では「国際サッカー連盟(FIFA)よ帰れ」などと書かれた垂れ幕を掲げるデモもあった。
W杯試合が予定される北東部レシフェでは警官がストに訴えたため軍兵士が犯罪や略奪阻止に当たる事態ともなった。
W杯反対派などは7月13日まで続く大会期間中、政府に圧力を加える活動を行うと宣言している。
W杯観戦などに訪れる外国人は推定約60万人。試合観戦で国内を移動するブラジル国民は約300万人とされる。