長い歴史誇る「サンタ学校」に密着 米ミシガン州
(CNN) ずんぐりした体形にあごひげをたくわえた男性が100人以上、赤と緑の服に身を包み、蒸気機関車に乗って米ミシガン州の地方部を行く。彼らはみな同州の「チャールズ・W・ハワード・サンタ・スクール」で学ぶサンタだ。
なぜサンタが、観光客向けのアトラクションである45分間の鉄道の旅を楽しむのか? 経営陣のトム・バレント氏に理由を尋ねると、蒸気機関車が登場するサンタ映画「ポーラー・エクスプレス」を引き合いに出し、「『ポーラー・エクスプレス』は素晴らしい映画、素晴らしい物語だ。サンタにはポーラー・エクスプレスに乗るような感覚を味わってほしい」と話した。
サンタ・スクールは北米に多数あるが、なかでも同校は、継続的に開校してきた学校としては世界最長クラスの歴史を誇るという。俳優であり生涯サンタ役を務め続けたチャールズ・W・ハワード氏が1937年、ニューヨーク州のアルビオンに開校。66年に同氏が死去すると、生徒だったメアリー・アイダ・ドーン氏と夫のネイト氏が後を継ぎ、同校をミシガン州に移転させた。ドーン氏は今でも完全出席の学校記録を持っており、今年が57年目だ。
ドーン夫妻が引退を決意した際には、70年代から同校に通い始めた前出のトム・バレント氏と妻のホリー氏がすでに経営に携わっていた。同校への愛着からだという。
トム氏は87年、建築家と組んでミシガン州ミッドランドに「サンタ・ハウス」を建設した。サンタ・ハウスは同校の精神的支柱となっており、魔法の場所でもある。中に入るとおもちゃ屋のような光景が広がっており、ペパーミントの香りが漂うなか、小妖精が忙しく働く音が響く。ミッドランドで建設会社を経営するトム氏は毎年、新しい趣向を加えている。
最近は受講生が増加中で、毎年サンタ志望の男女125人あまりが入校する。サンタ・ハウスは小規模のクラスにしか使えない状況だ。
受講者は10月に3日間、手話やトナカイの操り方、メイクの仕方などの講義を受ける。テレビの生放送に出演する際のインタビューの受け答えや小妖精の踊りのほか、「ホーホーホー!」というサンタの正しい笑い声も学ぶ。受講生のサンタらによれば、同校はいわばサンタ版のハーバード大学で、履歴書に校名を書けばどこでも仕事に就けるという。