規制強化で逆風、ヒップホップは中国で生き残れるか
香港のグループ「LMF」のラッパーを務めるMC仁氏は、物議を醸す歌詞が原因で20年前に中国公演を禁止された。今再び同じ事態が起きているのも驚きではないという。
ヒップホップは労働者階級の若者と富裕層の子弟、双方の間で人気だ。
2009年に中国初のヒップホップラジオ番組を立ち上げた孔令奇氏は、「中国のヒップホップの背景にあるのは夢だ」と説明。ヒップホップが大きな存在となった事情は米国と同じだとし、お金のない若者にとっての表現の場になっていると話す。
ヒップホップジャーナリストの男性(31)もこうしたファンのひとりだ。欧米からプラスチックごみとして輸入された違法CDを通じヒップホップと出会った。
男性は中国人アーティストが「比較的リアルで誠実」な姿勢を保っている点を評価していた。その多くは、標準中国語とは異なり地元の文化が生きている方言で歌い、ラップのビートに中国の楽器を取り入れるなど実験的な音作りにも取り組んでいた。
しかし、ヒップホップの人気拡大に伴い商業化の波が到来。そしてついに当局の視線が注がれるようになった。