「脱北」の北朝鮮女性12人、自分がだました 元店長が告白
ソウル(CNN) 北朝鮮が中国で経営する飲食店に勤務していた女性ウエートレス12人が2016年4月、店長とともに集団で韓国へ亡命したとされる問題で、店長だった許剛一(ホ・ガンイル)氏がこのほどCNNの取材に応じ、女性ウエートレス12人は自分がだまして韓国へ連れて行ったと証言した。韓国の情報機関、国家情報院(NIS)に強要されてやったと主張している。
許氏はインタビューの中で、金正恩政権に失望してNISの情報員になったと告白。自分の友人のうち5人は裁判を受けることなく処刑されたと語り、自分もいつか同じ運命をたどるのではないかと不安を口にした。
韓国へ亡命したとされるのは、中国南東部・浙江省の寧波市にある飲食店でウエートレスをしていた若い女性12人。韓国政府は、この女性たちが自らの意思で脱北したという説明を変えていない。韓国統一省は当時、2011年に金正恩氏が最高指導者に就任して以来、最大の集団脱北として大々的に宣伝していた。
CNNは、許氏の主張についてNISにコメントを求めたが返答はなかった。韓国統一省は、女性たちがソウルへ来た状況について詳しく調べると話している。
北朝鮮赤十字は当時、この問題を「集団拉致」と形容していた。北朝鮮は19日、韓国に対し、12人を北朝鮮に帰国させるよう改めて要求。12人が帰国すれば、関係改善を望む韓国の意思を示すことになると強調した。
北朝鮮の朝鮮中央通信は、「韓国当局は、朴(槿恵大統領=当時)政権による前代未聞の残虐行為を認め、事件に関与した者を厳罰に処し、我が国民の女性たちを速やかに家族のもとへ返し、それによって北と南の関係を向上させる意思を示さなければならない」と伝えている。