アルゼンチン代表、イスラエルとの親善試合を中止 パレスチナからの抗議受け
(CNN) サッカーのアルゼンチン代表は7日までに、中東エルサレムで予定されていたイスラエルとの親善試合をキャンセルする意向を表明した。今月ロシアで開幕するワールドカップ(W杯)の準備として組まれたものだったが、パレスチナ当局から試合開催に対する激しい抗議の声が上がったことを受けて中止を決めたとみられる。
イスラエルとの試合は9日に開催予定だった。アルゼンチンのマクリ大統領は6日、CNNエスパニョールの取材に答え、試合を取りやめる決定について、中心的存在のリオネル・メッシ選手を含む代表チームが「全員一致で」下したと説明した。
エルサレムの帰属をめぐりイスラエルと対立するパレスチナの当局者らは、同地でイスラエルとアルゼンチンの試合が開催されることに激しく反発していた。パレスチナ・サッカー協会のジブリル・ラジュブ会長は3日、アルゼンチン・サッカー協会(AFA)への抗議行動を立ち上げ、人々にメッシ選手のユニホームを燃やすよう呼びかけていた。
AFAの幹部は6日、地元ラジオ局とのインタビューで、イスラエル戦の中止は正しい判断であり「前向きに評価している」と語った。
一方、イスラエル・サッカー協会は声明を出し、パレスチナ・サッカー協会のラジュブ会長が目に見える形での野蛮な脅迫を行ったと非難。同協会とラジュブ氏に責任を負わせるべく、各国関係機関に全力で働きかける考えを示した。
ラジュブ会長は試合の中止を受けて6日に会見を開いた。「ありがとう、メッシ。パレスチナより」と書かれたボードの横に立った同会長は「これを政治的な勝利だとは思わない。スポーツのなせる業だ」と述べた。この後行われたCNNとのインタビューでは「イスラエル側が政治とスポーツを混同した。だからアルゼンチンが試合を取り止めたのだ」と強調した。
当初発表された試合の開催地は、イスラエルの都市ハイファだった。しかし試合の宣伝に携わった関係者がCNNに明らかにしたところによれば、イスラエル政府がエルサレムで開催したいとの意向を明確に伝えてきたという。