米劇場でナチス式礼賛叫び騒然、「ハイル・トランプ」とも
(CNN) 米ボルティモア市の劇場でミュージカル「屋根の上のバイオリン弾き」の幕あいに観客の男性が突じょ、「ハイル・ヒトラー(ヒトラー万歳)!。ハイル・トランプ!」とナチス式礼賛の言葉を叫び、場内が騒然とする混乱が17日までにあった。
現場にいた地元紙ボルティモア・サンの関係者はCNNの取材に、この叫びを聞いた複数の客が出口へ向かって駈け出したと証言。「個人的には次に銃声が聞こえるだろうと思い込んだ」と述べた。
叫んだ男性はバルコニー席におり、警備員が連れ出す前にも他の言葉を叫んだという。この10分後に劇は再開されていた。男性の叫びに「家に帰れ、ナチス!」と他の客らが言い返したとの情報もある。
観客の証言によると、14日夜の上演での騒ぎは最初の幕あいが約10分過ぎた際に発生。ナチス式礼賛の言葉が響いた後、動揺し、涙を流す客もいた。ユダヤ人家族も多くおり、おびえたような表情も見せたという。
ボルティモアの警察の報道担当者によると、秩序を乱すような人物がいるとの通報があり、警官が出動。しかし、「容疑者は混乱なく立ち去っていた」とし、逮捕者もいなかったと述べた。
今回の騒ぎに関する警察の報告書は、叫んだ男性は幕あい前の最後の劇の場面でトランプ大統領への憎しみを思い起こし、立ち上がって叫び始めたともしている。
同劇はロシア帝政時代に迫害されたユダヤ人家族の物語。米ピッツバーグにあるシナゴーグ(ユダヤ教会堂)では先月、11人が殺害される銃乱射事件が発生。これ以降、米国内では反ユダヤ人の嫌がらせ行為などが急増している。