S・ヨハンソンがディズニー提訴、「ブラック・ウィドウ」のストリーミング配信めぐり
ニューヨーク(CNN Business) 米女優スカーレット・ヨハンソンさんが29日、カリフォルニア州のロサンゼルス郡上級裁判所に米ディズニーを提訴した。同社が新作映画「ブラック・ウィドウ」をストリーミングサービスで配信したことについて、自身との契約の違反に当たると主張している。
「ブラック・ウィドウ」は先ごろ、劇場とディズニーの手掛ける動画配信サービス「ディズニープラス」で同時公開された。今回の訴訟ではこれがヨハンソンさんとディズニーとの契約に反するものだとしている。訴訟内容によれば、ヨハンソンさんは同作から得られる報酬について、おおむね映画の興行収入に基づく仕組みにすることで合意していたという。
ディズニー傘下のマーベル・エンターテインメントとの契約では劇場での独占公開が保証されており、ディズニー側もこれを認識していたにもかかわらず、マーベルには劇場公開の同日に作品をディズニープラスで配信するよう指示が与えられたと、訴状は指摘する。
これに対しディズニーは、ヨハンソンさんの訴訟にいかなる価値もないと反論。広報担当者が声明を出し、ヨハンソンさんとの契約には完全に従っているとしたうえで、「ブラック・ウィドウ」をディズニープラスの「プレミア・アクセス」によって配信することでヨハンソンさんには追加の報酬が発生する仕組みになっていると強調した。
訴訟のニュースは米紙ウォールストリート・ジャーナルが最初に報じた。
新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)を受けて劇場公開による収益が伸び悩む中、作品の動画配信は映画業界での議論の焦点となっている。
ディズニーは3月に「ブラック・ウィドウ」を劇場とディズニープラスとで同時に公開すると発表。配信の視聴には追加の料金がかかるとしていた。同作は当初、昨年5月公開の予定だったが、パンデミックの影響で度重なる延期に見舞われていた。
ヨハンソンさんの弁護士はCNN Businessの取材に答え、「ディズニーは『ブラック・ウィドウ』のような映画を直接ディズニープラスで公開して会員数を増やし、株価を上げようとする。その実態を隠すために新型コロナを口実にしているのは周知の事実だ。」と訴えた。
そのうえで、作品の成功に貢献した俳優との契約を無視し、こうした近視眼的な戦略を進めるのは、彼らの権利を侵害するものにほかならないとの見解を示した。