黒人初のハリウッドスター、シドニー・ポワチエさん死去 94歳
(CNN) 黒人俳優で最初のハリウッドスターとなり、米アカデミー賞の主演男優賞を黒人として初めて受賞したシドニー・ポワチエさんが6日夜死去した。94歳だった。
カリブ海の島国バハマの首相の報道官がCNNに確認した。
バハマの貧しい環境で育ったポワチエさんは、同国の強い訛(なま)りを抑えた話し方を身に着け、俳優の世界でトップに上り詰めた。
当時は黒人が映画の主要な登場人物を演じるのは珍しかったが、ポワチエさんは1963年公開の「野のユリ」で、礼拝堂を建てる白人修道女を助ける移動労働者を演じ、黒人初のアカデミー賞主演男優賞を受賞した。
67年には「いつも心に太陽を」、「夜の大捜査線」、「招かれざる客」の話題作3本に立て続けに出演。人気俳優の地位を不動のものにした。
ただ、60年代のハリウッドで黒人として唯一主役を張れる存在だったポワチエさんに対し、厳しい見方をする向きもあった。黒人の気高いシンボルとしてしばしば称賛される一方、同じ黒人の一部からは批判を浴びた。美化された役柄を演じて白人に迎合し、結果的に自分たちを裏切っているというのがその理由だった。
2000年のオプラ・ウィンフリーさんとのインタビューでは、そうした自身の立場について「とてつもない責任を負ってきた」と説明。「私はそれを受け入れた。そして自らの生き方で、どれだけその責任を尊重しているのかを示してきた。そうしなくてはならなかった。他の人たちに応援してもらうためには、間違いなくそうする必要があった」と語った。
01年には米映画界への全般的な貢献からアカデミー名誉賞を受賞。公民権運動への取り組みでも知られ、09年には当時のオバマ大統領から米民間人への最高勲章である大統領自由勲章を授与された。