米アカデミー、先住民女性に半世紀ぶり謝罪 マーロン・ブランド代理で受賞拒否演説

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2019年のリトルフェザーさん(中央)/Paul Chinn/The San Francisco Chronicle via Getty Images

2019年のリトルフェザーさん(中央)/Paul Chinn/The San Francisco Chronicle via Getty Images

73年、「ゴッドファーザー」で主演男優賞を受賞したブランドは、授賞式の場にいなかった。当時女優で活動家だったリトルフェザーさんはブランドに頼まれて出席し、ブランドの代理として受賞を拒否した。

バックスキンのドレス姿で静かに壇上に上がったリトルフェザーさんは、自身をアパッチの女性と紹介し、全米ネイティブアメリカン・アファーマティブ・イメージ委員会の代表と名乗った。

「(ブランドは)残念ながら、この賞を受け取ることができません。現在の映画業界による米先住民の扱いが理由です」。リトルフェザーさんがそう語ると、会場からはブーイングと拍手が巻き起こった。リトルフェザーさんは動揺した様子で一呼吸置き、「私がこの夕べの邪魔になっていないことを願い、いつか私たちの心と認識が愛情と寛容に出会うことを願います」と語りかけた。

ブランドが受賞を拒んだもう一つの理由は、サウスダコタ州で先住民の活動家と連邦法執行機関が衝突した「ウンデッドニー事件」だった。リトルフェザーさんはブランドさんと、オスカー像には触れないと約束していたという。

「私は観客がぼう然として開けた口に集中した。かなりの数だった」「まるでクロロックス(漂白剤)の海を見ているようだった。観客に有色人種はほとんどいなかった」。リトルフェザーさんはアカデミーの公式ブログでそう回想している。

リトルフェザーさんによると、当時の西部劇のスター俳優だったジョン・ウェインは、リトルフェザーさんに飛びかかって壇上から降ろそうとしたが、警備員に止められたという。ウェインはかつて「インディアンは身勝手にも(米国を)自分たちのためにキープしようとしている」と発言していた。

この授賞式の後、リトルフェザーさんは「沈黙させられ」、映画業界で仕事を見つけるのが難しくなったと振り返る。授賞式後のキャリアの大半は活動にささげ、先住民俳優のためのパフォーマンスアート団体を創設した。

先住民の権利擁護に反対するハリウッドの一部からは非難を浴びたものの、キング牧師の妻コレッタ・スコット・キングさんや公民権運動家セザール・チャベスさんなどの指導者からは賞賛されたとリトルフェザーさんは振り返り、「私は自分が正しいことをしたと知っている」とブログに記した。

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