フットボール、それともサッカー? そこには複雑な歴史が
(CNN) 「バラは他のどんな名前で呼んでも甘く香るでしょう」
英劇作家シェイクスピアがこのせりふを記した時、同じ言葉が英米間で今なお続く用語法の対立に当てはまるとは思ってもいなかった――。「アソシエーション(協会式)・フットボール」か「サッカー」かの議論のことだ。
フットボールあるいはサッカーは数百年前から存在していて、そのルーツは2000年あまり前にさかのぼる。しかし、イングランドサッカー協会(FA)が「アソシエーション・フットボール」という正式名称を確定したのは1863年、初めて競技規則を策定した時のことだ。
エベネザー・モーリーという人物が「クリケットの場合と同様にフットボールにもルールがなくてはならない」との考えを推進し、一貫したルールや規則の下での統一を図った。
「アソシエーション」という言葉を追加したのは、当時プレーされていて人気が高かった他のフットボールとの混同を防ぐためだ。特にラグビー・フットボールが念頭にあった。
ブリタニカ百科事典によると、「言葉作りにたけたオックスフォード大の学生たちが1880年代、ラガーのスポーツ(ラグビー・フットボール)と『assoccer』のスポーツ(アソシエーション・フットボール)を区別した」とされる。
「後者はさらに短縮されて『soccer』(『socker』とつづられることもある)になり、この名称が瞬く間に大学の外にも広がった」(同事典)