「FOXがうそ認めた」、投票機メーカーCEO 報道巡る1050億円和解成立
米デラウェア州ウィルミントン(CNN) 米FOXニュースは18日、2020年大統領選の報道で名誉を毀損(きそん)されたとして投票集計機メーカーのドミニオン・ボーティング・システムズから損害賠償を求められた裁判で、ドミニオンに7億8750万ドル(約1050億円)を支払う和解案に合意した。
和解はトライアル(事実審理)の冒頭陳述が始まる土壇場で成立した。これで2年にわたる法廷闘争に幕が下ろされる。
メディア企業の公知の和解額としては米国史上最大。
和解は陪審団が州裁判所で就任宣誓を終えてから数時間で発表された。昼休み後に審理の手続きが止まり、法廷内では和解のうわさが広がっていた。
エリック・デービス判事は「当事者が本件を解決した」と述べ、陪審の存在が和解を後押ししたと陪審員をたたえた。原告、被告の弁護士にも称賛の言葉をかけた。
ドミニオンの弁護士は和解を「正しいことの証明と説明責任を象徴するもの」と評価。民主主義には事実の重視が欠かせず「今日は真実と民主主義に対する力強い支持を示す日となった」と述べた。
ドミニオンのジョン・プーロス最高経営責任者(CEO)は「FOXがドミニオンに関してうそをついたことを認めた。このうそは我が社、従業員、顧客に多大な損失をもたらした」と述べた。
FOXニュースは、同社が「ドミニオンに関する一定の主張を誤りと認定した裁判所の決定を認める」との声明を発表した。デービス判事は最近、2020年後半に放送されたFOXニュースの20以上の番組で、ドミニオンが大統領選を操作したというあからさまなうその主張があったと認定していた。
7億8750万ドルの和解額はドミニオンが当初求めていた賠償額16億ドルの約半分。ただ、同社の18年時点の企業価値の10倍近く、21年売上の約8倍の金額となる。
和解に達しなければ、FOXニュースの親会社FOXコーポレーションのルパート・マードック会長、息子のラクラン・マードック同社CEO、看板キャスターのショーン・ハニティー氏やタッカー・カールソン氏などが証言台に立つ可能性があった。