郵便物をデジタル化する新ビジネス、成功なるか 米
また財務情報や個人情報が書かれた郵便物を扱う企業にとっては、セキュリティーやプライバシーも懸念事項だ。この点、アウトボックスは社員を採用する際、郵政公社よりも厳格な身元調査を行っていると主張する。また、デジタル化された郵便物が所定の受取人以外の者の手に渡らないよう512ビット暗号やデバイス認識を導入している。さらに不要な郵便物はシュレッダーにかけてリサイクルしている。
郵政公社は追いつけるか
一方、郵政公社は新たな技術の導入や適用が遅れている。その理由の1つとして、2006年に郵政公社の新規ビジネスへの参入禁止が立法化されるなど、郵政公社の事業に多くの制約があることが挙げられる。
また郵政公社は深刻な財政問題を抱えており、2012年には159億ドルの赤字を計上した。また2月には、この夏、土曜日の郵便配達を中止することにより20億ドルのコスト削減を図る計画を発表した。
郵政公社はまた、技術の進歩が長きにわたり自分たちの本業を徐々に侵食していく様子を目の当たりにしてきた。郵政公社の郵便物の取扱量は、2002年の2028億通から2012年には1599億通に減少した。各種料金の支払い、取引明細、宣伝広告がオンラインに移行しているのに伴い、郵便の取扱量が減っている。電子商取引の人気上昇により、商品の配送や荷物の取扱量が増えている点が唯一の明るい材料といえる。
郵便事業で利益を出す
郵政公社が従来の郵便事業で利益を上げていないからと言って、郵便事業が成り立たないわけではない。アウトボックスは月額4.99ドルの料金に加え、いずれ独自のアプリケーションを通じて広告配信を行う計画だ。この広告はバナー広告ではなく、電子化した郵便物のような形で配信される。