インド・ベンガルールの交通渋滞、日本の技術で緩和目指す
バス6700台に搭載されたGPS装置では、走行スピードに関する情報を収集し、市内8カ所に設置したカメラとセンサーでは交通量や速度を調べる。
29カ所の交差点には新しい信号機を設置。この信号機を連携させて、可能な限り、1つの青信号を通過した車両が次も青信号になる「緑の波」を作り出す。
ITSの技術は日本で1990年代から使われているといい、JICAはスリランカやカンボジアでも同様のシステムを導入したほか、ウガンダでもプロジェクトを進めている。
2017年にJICAの支援でロシアの首都モスクワに導入されたITSは、40%の渋滞解消につながった。
ただしベンガルールでの効果については懐疑的な声もある。インド理科大学の専門家は、「残念ながら、(同システムは)限定的な影響しか及ぼさないだろう。特に朝夕のピーク時の交通は既に超飽和状態に達しており、このような交通管理対策で実質的な影響を及ぼすことのできる範囲は限られる」と指摘する。
一方、インド理科大学の別の専門家は、ベンガルール市民はIT技術に精通しており、今回のようなスマートシステムを成功させる助けになるだろうと予想。「低所得世帯は職場から遠い場所に住むことを強いられる場合も多く、通勤時間が長くなって経済的生産性の低下につながる」「渋滞は個人間の経済格差を拡大させかねない」と話している。