中国で見えてきた不妊問題<1> 一人っ子政策脱却の中で
(CNN) シー・シャオシンさん(35)は3年前、まさか自分が不妊で悩むことになるとは夢にも思わなかった。
当時、シーさんの唯一の楽しみは2012年に結婚した夫と世界中を旅することだった。しかし、3年後にやはり子どもが欲しくなり、子作りを始めたが、妊娠への道のりは険しかった。
「最近まで子作りがこれほど大変とは思っていなかった」とシーさんは語る。
中国には、主に都会に住み、不妊に悩む女性が数十万人存在し、シーさんもその1人だ。
世界の他の国々と同様、中国でも出産を先送りする女性が増えている。高い生活費や養育費、長い労働時間、妊産婦に不親切な政策がその理由だ。また、大気汚染などの環境要因も、特に男性不妊の一因となっている可能性を指摘する専門家もいる。
しかし、不妊は単に個人の問題ではなく、国全体の問題ともいえる。
中国の合計特殊出生率(女性1人が生涯に産むと見込まれる子どもの数)は、2017年が推定1.6で、カナダとほぼ同水準だが、米国や英国のそれよりも低い。また米中央情報局(CIA)の年次刊行物「CIAワールドファクトブック」によると、中国の出生率は人口の維持に必要な2.1をも下回っているという。
中国当局は出生率の向上を目指しているが、中国の人口ピラミッドは「つぼ型」で、高齢者を支える労働者の数が減少している。
この悪い流れを変えるため、中国政府は、長らく出生率の抑制に重点が置かれていた人口政策の大改革を行っている。2015年には数十年続いた一人っ子政策を撤廃し、さらに今年、一人っ子政策を推進してきた国家衛生計画生育委員会を廃止した。
夫婦が2人の子どもを持つことを認めるこの決定により、今、中国の高齢女性の間で不妊治療への需要が急増している。
中国の不妊に関する公式データの入手は難しいが、中国人口学会(CPA)が6年前に発表したリポートによると、中国には不妊に悩む男女が4000万人存在する。しかし、初婚年齢が都会と比べて大幅に低い農村部では不妊はさほど問題視されていない。
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