アマゾン、従業員に「距離確保」の徹底求める 故意の違反には解雇処分も
(CNN Business) 新型コロナウイルスの感染拡大抑止のため他人との間に距離を置くよう定めたソーシャル・ディスタンシングについて、米アマゾンは10日までに、「故意に違反」した従業員に対しては解雇も辞さないとする方針を示した。ただ従業員からは業務の性質上、規定を守ることは不可能だとの意見も出ている。
これまで米国内にあるアマゾンの物流倉庫十数カ所で従業員の感染が確認された。これを受け、同社に対しては、極めて感染リスクの高い状況に置かれている現場の従業員を守れるのかどうか懸念の声が上がっている。
今回アマゾンは、ソーシャル・ディスタンシングの規定に故意に違反した従業員に対し警告を発すると明言。2度目の警告を受けた従業員は解雇する場合があるとした。アマゾンの定めるソーシャル・ディスタンシングは、他人との間に約1.8メートルの距離を置くよう求めている。
アマゾンの広報担当者はCNNに対する声明で「会社としてソーシャル・ディスタンシングの明確な指針を掲げているにもかかわらず、社内の施設で従業員が意図的な違反行為を働く事例が複数回にわたって見受けられる。本人たちはもとより、同僚も危険にさらすものだ」としたうえで「違反が2回認められた従業員は解雇される可能性がある」と説明した。
同社は意図的な違反の具体例について明言していないが、ソーシャル・ディスタンシングを促進するため、いすや机の位置を変えたり、従業員同士の勤務時間をずらしたりといった対策をとっていると述べた。
しかしミシガン州の施設で働くアマゾン従業員の1人はCNNの電話取材に答え、作業の大半は従業員同士の距離を確保した状態ではできないと指摘。「梱包作業を行う部署には壁もなく、従業員が文字通り肩を寄せ合って作業している」とし、業務を行うためには互いに近づかざるを得ないと訴えた。
アマゾンは今週、従業員に対し施設内でのマスクの着用を推奨するメールも送付した。これを受け取った従業員の1人はCNNの取材にメールで答え、ソーシャル・ディスタンシングの違反には厳しく対応する一方でマスクの使用は推奨どまりという方針に違和感を覚えると語った。