米国初、3Dプリントの住宅街を建設へ 1戸6500万円から
(CNN) 米カリフォルニア州南部の乾燥地帯で米国初となる3Dプリントによる住宅街の建設が今秋にも始まる。持続可能性にも着目し、エネルギー消費の「実質ゼロ」を目指している。
建設会社パラリ・グループによると、パームスプリングス近くのコーチェラバレーの高級住宅地ランチョ・ミラージュで、約2万平方メートルの土地に15棟の環境配慮型の住宅を建設する。
住宅は1戸約135平方メートルの平屋で、複合石材から作られる。同社のバジル・スター最高経営責任者(CEO)によると、この石材には強度があり、耐火性や耐水性、防シロアリの性能も備える。
提携企業のマイティー・ビルディングズが同州オークランドの工場でモジュール型のパネルを3Dプリントで生成。これを建築現場で「レゴブロックのように」組み立てていくとスター氏は説明する。
スター氏によると、パラリ社は持続可能な建築技術に着目し、廃棄物の少ない3Dプリントによる建設に注力しているという。
「木材フレーム工法では1軒建てると多くの廃棄材が出て、約2トンが処分場行きになる。3Dプリントは不必要な廃棄を完全に排除できる革新的な建築方法だ」(スター氏)
3Dプリントで作れないバスルームや棚などの内装も持続可能な方法で調達するという。
住宅は3つのベッドルーム、2つのバスルームにデッキ、プールがついて、価格は59万5000ドル(約6500万円)から。さらに25万5000ドル出せば、2つのベッドルーム、1つのバスルームを備えたスペースを追加することもできる。
全てのエネルギーは太陽光でまかなわれる。オプションでテスラ製の家庭用電池やたき火台、屋外のシャワー施設なども設置可能だ。
ランチョ・ミラージュ市によれば、同市の持ち家の平均価格は82万5738ドル。
パラリ社によると、今年9月に起工し、来春までに完成予定。スター氏によると、パネルをプリントしながら道路や基礎部分の構築、設備の設置を同時進行で行えるため、従来工法より工期が短くて済むという。
既に1000ドルの預託金を支払って予約リストに名を連ねている購入予定者もいる。同社はランチョ・ミラージュや同州の他の地域で別の開発案件も視野に入れている。
ただ3Dプリントの建設で知られるのは同社だけではない。先月、ニューヨーク州リバーヘッドではSQ4D社が3Dプリントの住宅販売を開始。オンライン不動産サイトでは29万9999ドルの値が付いている。
オースティンでは、伝統的な工法と3Dプリントを組み合わせて住宅を建築する/3Strands/ICON
テキサス州オースティンの建設会社ICONも別の開発会社と組んで、オースティン東部で3Dプリントの住宅建設に着手。今年6月か7月の完成を予定している。