巨大なハイテク温室、食料問題解決の切り札となるか
(CNN) 米ケンタッキー州のアパラチア山脈のふもとに位置する小さな町モアヘッドには米国最大級の温室がある。この温室は、単なる裏庭の温室の特大版ではない。ロボット工学、人工知能(AI)、データを駆使して年間4500万ポンド(約2040万キロ)のトマトを栽培しているハイテク温室だ。
世界の総人口は2050年までに100億人に達する見込みで、国連は100億人に食料を供給するには食料生産量を70%増やす必要があると予測している。米アップハーベストの創業者兼最高経営責任者(CEO)のジョナサン・ウェブ氏は、AIを搭載した温室が食料問題の解決策と考えている。
ウェブ氏は「気候崩壊が進む中、今よりもはるかに少ない資源ではるかに多い食料を栽培する方法を見出す必要がある」と述べた上で、「テクノロジーを使えば実現可能だ」と付け加えた。
温室内の環境を管理
アップハーベストによると、20年に建設されたこの最新鋭の温室は、広さが60エーカー(約24万平方メートル)あり、1エーカー当たりの収穫量は田畑の30倍である一方、使用する水の量は90%も少ないという。
同社の最高技術責任者(CTO)ジョシュ・レッシング氏は「この温室では光、熱、作物の栄養を管理できる」とし、さらに「(温室内の)環境をそこまでコントロールできると、いろいろな面白いことができる」と付け加えた。
この温室では、LED(発光ダイオード)照明を使って自然光を補い、土を使わずに作物を育てる。土の代わりに作物の根から水や栄養を吸収できる培地を使用するという。
また300個のセンサーとAIを使って70万以上の作物からデータを収集しており、生産者は温室内の微気候を遠隔監視し、作物が最適な量の栄養や水を摂取できるようにする。さらにアップハーベストのロボットたちが、どのトマトが収穫可能なくらい熟しているかを判断し、ロボットアームでトマトを選別し、摘み取る。