チキンの「せき止めシロップ」煮込み? 危険なSNSチャレンジに警鐘
(CNN) せき止めシロップで鳥肉を煮込んだり、カプセル型の洗濯洗剤を飲み込んだり――。若者たちがSNS上で繰り広げる危険な「チャレンジ」に、米当局が警鐘を鳴らしている。
米食品医薬品局(FDA)はSNS上での最近の流行として、自ら市販の薬を乱用する場面の動画を投稿し、相手もこれに続くよう求める遊びを挙げた。若者たちの間で広がっているが、本人たちの体に害を及ぼす恐れがあり、死を招く事態にもなり得る。
FDAによると、最近の例ではかぜシロップの成分である解熱鎮痛剤のアセトアミノフェン、せき止めのデキストロメトルファン、抗ヒスタミン薬のドキシラミンを混ぜ、そこへ鳥肉を入れて調理しようと呼び掛ける動画があった。
だが薬を煮立てると濃度が非常に高まり、性質が変化する可能性もあると、FDAは指摘する。たとえ中の鳥肉を食べなくても、調理中の湯気を吸い込んだだけで体に大量の成分を取り込むことになり、肺にも害を及ぼす心配がある。
FDAはまた、ティックトック上で市販の抗ヒスタミン薬、ジフェンヒドラミンを大量に摂取し、幻覚を見ようと誘うチャレンジ動画も紹介した。10代の若者らがこれで病院に救急搬送された例や、死亡した例も報告されているという。
米小児科学会(AAP)によると、脳内で合理的な思考や問題解決、結果の予測をつかさどる前頭葉皮質が完全に発達するのは20歳半ば。それまでの年代は衝動的な行動が目立つ。
洗剤のカプセルが有害でのどや気道を傷付けかねないこと、ジフェンヒドラミンのような薬を乱用すれば心臓の重大なトラブルやけいれん、昏睡(こんすい)状態を招くかもしれないことを、若者はなかなか考えようとしない。
AAPは「若者たちが注目するのはひとつだけ、クラスの人気者がそれをやって数百件の『いいね』やコメントをもらったということだ」と指摘。SNSでは勇気ある行動が称賛され、それがとんでもない行動であればあるだけ自慢のタネになる、と説明している。
親たちはSNSが10代の行動に及ぼす影響の大きさを意識しつつ、子どもとコミュニケーションを取り続け、SNSチャレンジについても落ち着いて話し合うよう心がけるべきだとしている。