ロシアの情報戦に柴犬で対抗、ウクライナ支援の「NAFO」はユーモアが武器
NAFO共同創設者のマット・ムアーズ氏は戦略国際問題研究所のパネルディスカッションで、「オンラインで漫画の犬に返答したら、その時点で負けだ」と指摘した。
ロシア外務省のマリア・ザハロワ報道官がやったのは、まさにそれだった。エストニアのカラス首相のツイートが投稿された直後、ザハロワ報道官はこう書き込んだ。「NAFOはEU(欧州連合)が戦っているらしいもの、すなわち憎悪発言、不寛容、あらゆる形の外国人嫌悪を体現している。これこそ西側の偽善の本質だ。ロシアに嫌がらせをするためなら、我々は自ら嫌なヤツになる、と」
NAFO運動にはウクライナ支持者だけでなく、ジャーナリスト、学者、アナリスト、兵士なども加わっている。2022年8月にはウクライナのオレクシー・レズニコウ国防相がNAFOフェラズに敬意を表し、ツイッターのプロフィル写真を一時的に柴犬のイラストに変更した。英国のベン・ウォレス国防相なども、NAFOの重要性を指摘している。
NAFOフェラズの投稿は時として行き過ぎと批判されることもある。最近では、エジプトでサメの襲撃を受け死亡した若いロシア人観光客をあざける投稿があり、ロシアの侵攻に反対する人々からも非難を浴びた。
だが、NAFOは編集者もいなければ検閲もない。若くて不作法で自意識過剰でイマドキの若者のコミュニケーションの典型だ。ロシアやロシアのプロパガンダは多くの場合、ユーモアにうとい。「NAFOフェラズ」は喜々としてそこに付け込んでいる。